塾長コラム

範囲が拡大して受験生平均点が上昇する試験になった(前編)|塾長コラム133 公開させて頂きました。

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各歯科大学生と既卒生のみなさん、こんにちは、弘中塾の弘中 崇です。

 

本日は

範囲が拡大して受験生平均点が上昇する試験になった

塾長コラム133 公開させて頂きました。

最後迄宜しくお願い致します。

 

――「平均点が上がった」という数字だけでは歯科医師国家試験の変化は見えてこない

歯科医師国家試験について、最近気になることがあります。

それは、試験そのものを見ていると、以前よりも明らかに「問われる範囲が広くなっている」と感じる一方で、受験生の平均的な得点は上昇しているように見えることです。

一見すると、不思議な現象です。

試験範囲が広がれば、一般的には勉強しなければならない量が増えます。覚えることも増えます。理解しなければならない内容も増えます。

それにもかかわらず、受験生の平均点が上がっている。

なぜなのでしょうか。

私は、この現象を考えるとき、「受験生の学力が全体として大きく上昇した」と単純に考えるべきではないと思っています。

そこには、大学教育の変化と、卒業判定の変化、そして教科書そのものの変化があります。

試験範囲は、確実に広がっています

まず考えなければならないのが、国家試験の「範囲」です。

歯科医学は、時代とともに新しい知識が増えています。

新しい診断法、新しい治療法、新しい材料、新しい薬剤、社会保障制度、高齢者歯科、全身疾患との関係など、歯科医師に求められる知識は少しずつ増えています。

それに伴って、大学で指定される教科書も増えています。

一冊の教科書を勉強すれば十分という時代ではなくなり、複数の教科書を使いながら学ぶ必要が出てきています。

さらに、教科書そのものも改訂されています。

新しい内容が加えられ、説明が詳しくなり、以前の教科書と比較するとページ数が10~15%程度増えているものもあります。

ここは、受験生のみなさんにはぜひ意識してほしいところです。

「昔の学生もこの試験を受けていたのだから、自分たちも同じように勉強すればよい」

これは必ずしも正しくありません。

昔と今では、学生が勉強しなければならない「知識の総量」が違います。

教科書が厚くなれば、当然、その中から理解しなければならない内容も増えます。

指定教科書が増えれば、読むべき本も増えます。

そして国家試験がそれらを背景として作られるのであれば、受験生が向き合う範囲も自然に広がっていきます。

つまり、今の受験生は、以前の受験生よりも広い範囲を勉強しなければならない環境に置かれているのです。

では、なぜ平均点が上がるのでしょうか

ここで、もう一つの問題があります。

試験範囲が広がっているのに、受験生の平均点が上がっている。

その理由を考えるためには、「誰が国家試験を受けているのか」という受験生の構成を見る必要があります。

特に現役生について考えると分かりやすいと思います。

大学では、卒業判定があります。

当然ですが、国家試験を受けるためには大学を卒業しなければなりません。

したがって、大学の卒業判定をどの水準で行うかによって、国家試験を受験する現役生の集団そのものが変わります。

以前であれば卒業できていた学生を、現在では卒業させない。

あるいは、卒業判定をより厳しくする。

そうなれば、国家試験を受ける現役生は、その大学の6年生全体よりも、一定の学力をクリアした学生に絞られることになります。

結果として、国家試験を実際に受験する現役生の平均的な学力は上がります。

ここが非常に重要です。

「卒業生のレベルが上がった」のではなく、

「卒業できる学生を選別することで、国家試験を受験する現役生の集団の平均レベルが上がっている」
という側面があるからです。

学年全体のレベルが大きく変わったわけではありません

では、大学生そのもののレベルが以前より大幅に上がっているのでしょうか。

私は、必ずしもそうとは考えていません。

現在は、歯科医師という職業そのものの人気が以前ほど高くないこともあり、歯学部を志望する学生の母集団そのものが大きく変化しています。

そのため、「学年全体を見たときの学生の基礎的なレベル」が大きく上昇しているとは限りません。

むしろ、学年全体の中には、さまざまな学力の学生がいます。

その中から、大学が卒業判定によって一定の水準に達した学生を卒業させます。

そして、その卒業生が国家試験を受験します。

すると、国家試験の受験生集団だけを見ると、平均点が高くなる。

これは、統計を見る上で非常に大切な視点です。

平均点という数字は、受験した人たちの平均です。

大学に在籍している学生全体の平均ではありません。

つまり、卒業判定を厳しくして受験者を絞れば、国家試験の受験生平均点は上がる可能性があります。

しかし、それだけを見て、

「学生の学力が上がった」

「国家試験に対応できる学生が増えた」

と判断するのは早計です。

「平均点が上がった」ことと「勉強が楽になった」ことは違います

受験生のみなさんに、ここを特に伝えたいと思います。

国家試験の平均点が上がっているからといって、

「最近の国家試験は簡単になった」

「みんな点数が取れているから、自分も大丈夫だろう」

と考えてはいけません。

むしろ、逆に考える必要があります。

受験生が大学の卒業判定によって選別され、その上で国家試験を受験しているのであれば、その集団の平均点が上がることは自然なことです。

そして、その一方で、国家試験の出題範囲は広がっています。

大学指定教科書も増えています。

改訂された教科書のページ数も増えています。

つまり、

「受験生の平均点は上がっているが、受験生が勉強しなければならない内容まで減っているわけではない」
のです。

ここを間違えてはいけません。

教科書が増えた時代に、過去問だけでは限界があります

こうした変化を考えると、私は改めて「教科書」の重要性を感じます。

試験範囲が広がっている以上、過去に出題された問題だけを繰り返していれば十分、とは言えなくなっています。

過去問はもちろん大切です。

どのような聞かれ方をするのかを知ることができます。

重要なテーマを確認することもできます。

しかし、過去問はあくまでも「過去に出題されたもの」です。

教科書には、過去問になっていない内容も書かれています。

そして、新しい知識が教科書に加えられていけば、その内容が将来の試験の背景になる可能性もあります。

だからこそ、国家試験対策では、

過去問を解く → 教科書に戻る → 周辺知識を確認する
という勉強が必要になります。

一つの問題の答えだけを覚えるのではありません。

その問題が扱っているテーマを教科書で確認する。

その周辺を理解する。

そうすることで、出題形式が変わっても対応できる力がついてきます。

現役生にとっては「卒業」と「国家試験」を別々に考えないこと

現役生のみなさんは、さらに注意が必要です。

卒業試験と国家試験は別の試験です。

しかし、勉強する知識の土台は共通しています。

大学の卒業判定を通過するためだけの勉強。

国家試験に合格するためだけの勉強。

このように完全に分けて考えると、6年生の後半で非常に苦しくなります。

大学の授業で使っている教科書を理解する。

卒業試験の問題を解く。

分からないところを教科書に戻る。

そして国家試験の問題でも、その知識がどのように問われるのか確認する。

この流れを作ってほしいと思います。

特に5年生のみなさんには、この考え方を早く身につけてほしいと思います。

5年生の勉強は、単に5年生の試験を通過するためだけのものではありません。

6年生で卒業試験を受け、さらにその先で国家試験を受けるための土台です。

「平均点」に惑わされない

受験生にとって、平均点は一つの目安です。

しかし、平均点だけを見て自分の合格可能性を判断してはいけません。

大切なのは、自分自身が必要な知識を身につけているかどうかです。

試験範囲は広がっています。

教科書は増えています。

教科書そのものも厚くなっています。

そして、卒業判定によって国家試験を受験する現役生が選別されることで、現役受験生の平均点が上昇する構造もあります。

このような環境の中で、受験生がやるべきことは、周囲の平均点を気にすることではありません。

自分の知識を広げ、深めることです。
「平均点が高いから大丈夫」ではありません。

「平均点が高いから、もっと取らなければならない」と必要以上に恐れる必要もありません。

必要なのは、試験がどのように変化しているのかを正しく理解することです。

これからの国家試験に必要なもの

私は、これからの歯科医師国家試験を考えるとき、受験生には「覚える量が増えた」とだけ考えてほしくありません。

大切なのは、知識をつなげることです。

基礎から臨床へ。

疾患から診断へ。

診断から治療へ。

歯科から全身へ。

教科書の一つの項目を覚えるだけではなく、その周囲にある知識と結びつけていく。

そのためには、教科書を読むことが必要です。

そして、何度も繰り返すことが必要です。

試験範囲が広くなったからといって、特別な勉強法が必要になるわけではありません。

むしろ、基本に戻ることです。

良い教科書を読む。

理解する。

問題を解く。

間違える。

教科書に戻る。

もう一度問題を解く。

この繰り返しです。

今の国家試験は、以前よりも広い知識を求める試験になっています。

その一方で、卒業判定によって現役受験生の集団が選別され、平均点が上昇する構造もあります。

だからこそ、数字だけを見てはいけません。

「平均点が上がった」という結果の裏側には、

何を勉強しなければならなくなったのか。
誰が試験を受けているのか。
大学はどのような基準で卒業させているのか。
という問題があります。

国家試験は、受験生全体の平均点を競う試験ではありません。

自分が必要な知識を身につけて、合格基準を越える試験です。

だから、周囲の数字に惑わされる必要はありません。

しかし、試験の変化を甘く見てもいけません。

範囲が広がっているのであれば、それに対応した勉強が必要です。

教科書が増えているのであれば、その教科書を知る必要があります。

そして、卒業判定によって現役生の平均点が上がっているのであれば、「平均点が高い=試験が易しい」という誤解をしないことです。

私は、これからの受験生に一番伝えたいことがあります。

国家試験が変わったからといって、勉強の本質まで変わったわけではありません。
教科書を知る。

理解する。

繰り返す。

そして、分からないところから逃げない。

これが、今もこれからも、合格への基本です。

試験範囲が広がる時代だからこそ、目先の点数だけを見るのではなく、自分の知識そのものを広げてください。

平均点が上がる時代だからこそ、周囲ではなく自分自身を見てください。

そして、教科書を閉じないでください。

範囲が広がった試験に対応する最も確実な方法は、広がった範囲を一つずつ知っていくことです。
それが、国家試験合格への一番確かな道だと僕はは考えています。

 

弘中塾 塾長 弘中 崇

追記=====

今回のテーマは単に「国家試験が難しくなった」という話ではなく①試験範囲そのものが広がっている②教科書そのものが厚くなっている③大学では卒業判定の通過ラインを切り上げることで現役受験生の母集団の見かけ上の学力が上がっている④しかし学年全体で見た卒業生の基礎的なレベルそのものが大きく変わっているわけではないという構造として整理するのが重要だと思います。

「平均点が上がっているから歯科医師国家試験が易しくなった」と単純に考えてはいけないという問題提起を中心にしました。

 

歯科医師国家試験、歯科国試合格、歯科大学卒業・進級・留年、卒国試過去問、オンライン、CBT、歯科国試直前講習等をテーマに今後もコラム・よくある質問を公開させて頂く予定です。

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