塾長コラム
範囲が拡大して受験生平均点が上昇する試験になった(後編)|塾長コラム134 公開させて頂きました。
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各歯科大学生と既卒生のみなさん、こんにちは、弘中塾の弘中 崇です。
本日は
どうぞ最後迄宜しくお願い致します。
むしろ現在の歯科医師国家試験には
①試験範囲そのものが年々広がっている。
②大学の指定教科書が増え改訂された教科書はページ数も10~15%程度増えている。
③一方で学年全体で見た学生の基礎的なレベルが大きく上昇したとは限らない。
④しかし大学が卒業判定の基準を厳しくし卒業できる学生を選別しているため実際に歯科国試を受験する現役生の集団は以前よりも上位に偏っている。という構造があります。
つまり「試験範囲は広くなっているのに歯科医師国家試験を受験する現役生の集団は選別されているため受験生平均点は上昇する」ということです。ここを理解しないまま「平均点が上がったから最近の歯科国試は簡単になった」と考えてしまうと歯科医師国家試験の本質を見誤ります。僕はこのことを受験生だけではなく保護者の方にも知っておいていただきたいと思っています。
つまり各大学の卒業判定を通過した学生だけが現役の歯科国試受験生になります。ここが非常に重要です。学年に100人の学生がいたとしても100人全員が同じように歯科国試を受けるわけではありません。卒業判定で一定の基準を満たさなければ卒業できない。その結果で歯科国試を受験する現役生は学年全体の学生よりも一定以上の学力を持った学生に絞られます。
大学が卒業判定を厳しくすればする程この傾向は強くなります。そのため歯国試受験生平均点を見ると以前より高くなる可能性があります。しかしそれは必ずしも「学年全体の学生の学力が上がった」ことを意味しているわけではありません。ここを混同してはいけません。
学年には当然さまざまな学力の学生がいます。その中から大学の卒業判定を通過した学生が卒業します。そしてその卒業生が歯科国試を受験します。つまり歯科国試平均点という数字は学年全体の平均ではなく卒業判定を通過して歯科国試を受験することになった学生たちの平均です。ここに、現在の平均点上昇を考える上での大きなポイントがあります。「受験生の平均点が上がった」という事実だけを見るのではなく「どのような学生が受験生として残っているのか」を見なければなりません。
その結果各大学で使用する指定教科書も必ず増えています。以前は比較的限られた教科書を中心に学んでいたものが現在では複数の教科書を使って学ぶ必要がある。更に教科書そのものも改訂されています。新しい知識が加えられ説明が詳しくなり改訂版では以前のものと比較してページ数が10~15%程度増えているものもあります。
これは受験生にとって決して小さな変化ではありません。100ページだったものが110ページから115ページになる。一冊だけなら大きな問題ではないように感じるかもしれません。しかしそれが複数の教科書で起きれば勉強しなければならない総量は確実に増えます。つまり現在の学生は以前の学生と同じように勉強していればよいとは限らないのです。
この数字だけを見て「まだ大丈夫だろう」「周りも取れているから自分も何とかなるだろう」と考えるのは危険です。歯科国試は平均点を取る試験ではありません。自分自身が必要な知識を持っているかどうかが問われます。だからこそ、教科書が重要になる。試験範囲が広がっている。教科書が増えている。教科書そのものも厚くなっている。その一方で歯科国試を受験する現役生は大学の卒業判定によって選別されている。
このような状況の中で受験生に必要なのは何でしょうか。僕はやはり教科書を知ることだと思っています。過去問は重要です。絶対にやらなければなりません。しかし過去問だけでは限界があります。なぜなら過去問は「過去に出た問題」だからです。教科書にはまだ出題されていない知識もあります。そして教科書が改訂され新しい内容が追加されているのであればその内容を無視することはできません。
過去問を解く。間違える。なぜ間違えたのかを考える。教科書に戻る。そのテーマを確認する。さらに周辺の知識を見る。そしてもう一度問題を解く。この繰り返しが必要です。一つの問題の答えを覚えるだけではありません。その問題の背景にある知識を理解する。これが重要です。
分からない問題は教科書に戻る。この習慣を持ってください。特に5年生はまだ時間があります。だからこそ今のうちに教科書を中心とした勉強の形を作っておくことです。6年生になってから「教科書を読んでいなかったのでどこから勉強していいか分からない」という状態になってはいけません。
だからこそ既卒生にも絶対に教科書が必要なのです。むしろ何度も受験してきた人ほど一度教科書に戻ってほしいと思います。「平均点上昇」の裏側を見てほしい。今の歯科医師国家試験を考える時に僕は「難しくなった」「易しくなった」という二択で考えるべきではないと思っています。
試験範囲は広がっています。指定教科書は増えています。教科書自体も改訂によって厚くなっています。一方で各大学では卒業判定によって学生が選別されます。その結果で歯科国試を受験する現役生の集団は学年全体よりも一定の学力を持つ学生に絞られます。そのため受験生平均点が上昇する。これが現在の歯科国試を考える上で重要な構造の一つです。
ですから「平均点が上がったから試験は簡単になった」とは考えないでください。むしろ「範囲が広がった試験を選別された受験生が受験しているため平均点が上昇している」という視点を是非持ってください。そうすれば自分が何をしなければならないのかが見えてきます。
これが基本です。
歯科国試の時代が変わっても勉強の本質は全く変わりません。教科書を知ること。理解すること。問題を解くこと。そしてまた教科書に戻ること。平均点が上昇しているからといって安心してはいけません。しかし必要以上に恐れる必要もありません。試験の構造を正しく理解し、自分がやるべきことを明確にすることです。僕はこれからの歯科医師国家試験に向き合う学生にぜひこのことを知ってほしいと思っています。
平均点の数字を見るのではなく数字の裏側を見る。
そして自分自身の知識を見る。試験範囲が広がったのであれば学ぶ範囲を広げる。それだけです。最後まで教科書を閉じないこと。それがこれからの歯科医師国家試験に向き合う上で最も基本的で最も確かな姿勢だと私は考えています。
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歯科医師国家試験、歯科国試合格、歯科大学卒業・進級・留年、卒国試過去問、オンライン、CBT、歯科国試直前講習等をテーマに今後もコラム・よくある質問を公開させて頂く予定です。
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政策委員長談話「需給問題が歯科医師の質低下に」/機関紙2017年6月1日号(№567)2面掲載
厚労省歯科医師国家試験関連サイト
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各歯科大学生と既卒生のみなさん、こんにちは、弘中塾の弘中 崇です。
本日は
範囲が拡大して受験生平均点が上昇する試験になった(後編)
塾長コラム134|公開させて頂きました。どうぞ最後迄宜しくお願い致します。
「平均点が上がった」という数字だけでは歯科医師国家試験の変化は見えてこない
歯科医師国家試験を考えるとき僕は現在の受験生にまず一つ理解してほしいことがあります。それは「歯科医師国家試験の平均点が上昇していること」と「歯科国試が易しくなっていること」はまったく同じではないということです。むしろ現在の歯科医師国家試験には
①試験範囲そのものが年々広がっている。
②大学の指定教科書が増え改訂された教科書はページ数も10~15%程度増えている。
③一方で学年全体で見た学生の基礎的なレベルが大きく上昇したとは限らない。
④しかし大学が卒業判定の基準を厳しくし卒業できる学生を選別しているため実際に歯科国試を受験する現役生の集団は以前よりも上位に偏っている。という構造があります。
つまり「試験範囲は広くなっているのに歯科医師国家試験を受験する現役生の集団は選別されているため受験生平均点は上昇する」ということです。ここを理解しないまま「平均点が上がったから最近の歯科国試は簡単になった」と考えてしまうと歯科医師国家試験の本質を見誤ります。僕はこのことを受験生だけではなく保護者の方にも知っておいていただきたいと思っています。
平均点が上がったからといって勉強する量が減ったわけではない
普通に考えれば試験範囲が広がれば平均点は下がりそうに思います。覚えることが増える。理解することが増える。教科書が増える。新しい知識も入ってくる。それなのに受験生の平均点が上昇している。なぜでしょうか。その一つの大きな理由が歯科国試を実際に受験する学生の集団そのものが変化しているからです。歯科医師国家試験を受けるためにはまず大学を卒業しなければなりません。つまり各大学の卒業判定を通過した学生だけが現役の歯科国試受験生になります。ここが非常に重要です。学年に100人の学生がいたとしても100人全員が同じように歯科国試を受けるわけではありません。卒業判定で一定の基準を満たさなければ卒業できない。その結果で歯科国試を受験する現役生は学年全体の学生よりも一定以上の学力を持った学生に絞られます。
大学が卒業判定を厳しくすればする程この傾向は強くなります。そのため歯国試受験生平均点を見ると以前より高くなる可能性があります。しかしそれは必ずしも「学年全体の学生の学力が上がった」ことを意味しているわけではありません。ここを混同してはいけません。
学年全体のレベルと歯科国試受験生のレベルは違う
現在で歯科医師という職業の人気は以前と比較して高いとは言えません。そのため歯学部を志望する学生の母集団そのものが大きく変化しています。僕は現在の学生を昔の学生と単純に比較して「今の学生の方が学力が高い」「今の学生の方が学力が低い」と決めつけることには慎重であるべきだと思っています。大切なのは学年全体を見たときの学生のレベルと実際に国家試験を受験する学生のレベルを分けて考えることです。学年には当然さまざまな学力の学生がいます。その中から大学の卒業判定を通過した学生が卒業します。そしてその卒業生が歯科国試を受験します。つまり歯科国試平均点という数字は学年全体の平均ではなく卒業判定を通過して歯科国試を受験することになった学生たちの平均です。ここに、現在の平均点上昇を考える上での大きなポイントがあります。「受験生の平均点が上がった」という事実だけを見るのではなく「どのような学生が受験生として残っているのか」を見なければなりません。
それでも、試験範囲は確実に拡大しています。
一方で試験範囲については別の問題があります。こちらは受験生の平均点とは切り離して考えなければなりません。歯科医学そのものが発展しています。新しい診断法・新しい治療法・新しい材料・新しい薬剤。更に高齢者歯科・全身疾患との関係・医療制度・社会保障等があり歯科医師として求められる知識も増えています。その結果各大学で使用する指定教科書も必ず増えています。以前は比較的限られた教科書を中心に学んでいたものが現在では複数の教科書を使って学ぶ必要がある。更に教科書そのものも改訂されています。新しい知識が加えられ説明が詳しくなり改訂版では以前のものと比較してページ数が10~15%程度増えているものもあります。
これは受験生にとって決して小さな変化ではありません。100ページだったものが110ページから115ページになる。一冊だけなら大きな問題ではないように感じるかもしれません。しかしそれが複数の教科書で起きれば勉強しなければならない総量は確実に増えます。つまり現在の学生は以前の学生と同じように勉強していればよいとは限らないのです。
「昔はこれだけやればよかった」は通用しない
僕は受験生から「昔はこのくらいの問題をやれば合格できた」という話を聞くことがあります。勿論過去の経験には価値があります。しかし現在と過去では前提条件が違います。教科書が改訂されています。どの大学も指定教科書が増えています。歯科医学そのものの知識も増えています。そして歯科国試で求められる知識の範囲も広がっています。だから「昔の合格者がこの程度の勉強で合格した」ということだけを基準にしてはいけません。今の受験生には今の時代に必要な勉強があります。平均点が上がる程に受験生は錯覚しやすい
ここでもう一つ注意したいことがあります。平均点が上がると受験生は「自分も取れるはずだ」と思いやすくなります。しかし平均点はあくまでも集団の数字です。しかもその集団自体が卒業判定によって選別されています。つまり「平均点が高い=試験が易しい」ではありません。むしろ受験生として残っている学生の学力が一定以上にそろってきた結果で平均点が高く見えている可能性があります。この数字だけを見て「まだ大丈夫だろう」「周りも取れているから自分も何とかなるだろう」と考えるのは危険です。歯科国試は平均点を取る試験ではありません。自分自身が必要な知識を持っているかどうかが問われます。だからこそ、教科書が重要になる。試験範囲が広がっている。教科書が増えている。教科書そのものも厚くなっている。その一方で歯科国試を受験する現役生は大学の卒業判定によって選別されている。
このような状況の中で受験生に必要なのは何でしょうか。僕はやはり教科書を知ることだと思っています。過去問は重要です。絶対にやらなければなりません。しかし過去問だけでは限界があります。なぜなら過去問は「過去に出た問題」だからです。教科書にはまだ出題されていない知識もあります。そして教科書が改訂され新しい内容が追加されているのであればその内容を無視することはできません。
過去問を解く。間違える。なぜ間違えたのかを考える。教科書に戻る。そのテーマを確認する。さらに周辺の知識を見る。そしてもう一度問題を解く。この繰り返しが必要です。一つの問題の答えを覚えるだけではありません。その問題の背景にある知識を理解する。これが重要です。
現役生は「卒業」と「歯科国試」を一つの流れとして考える
現役5と6年生のみなさんには卒業(学士)試験と歯科国試を別々のものとして考えすぎないでほしいと思います。勿論試験そのものは違います。しかし必要となる知識には共通する部分があります。5年生の段階で基礎と臨床をしっかりつなげる。6年生では卒業(学士)試験に向けた勉強をしながら歯科国試で問われる知識として整理していく。分からない問題は教科書に戻る。この習慣を持ってください。特に5年生はまだ時間があります。だからこそ今のうちに教科書を中心とした勉強の形を作っておくことです。6年生になってから「教科書を読んでいなかったのでどこから勉強していいか分からない」という状態になってはいけません。
既卒生はもう一度「知識の土台」を見直す
既卒生のみなさんは更に注意が必要です。何度も歯科国試を受験していると過去問を解くことには凄く慣れてきます。問題を見ただけで答えを思い出すこともあるでしょう。しかしそれは必ずしも「理解している」ということではありません。同じ内容を違う聞き方で出されたときに答えられるか。少し条件が変わったときに判断できるか。そのためには答えではなくその背景にある知識を理解していなければなりません。だからこそ既卒生にも絶対に教科書が必要なのです。むしろ何度も受験してきた人ほど一度教科書に戻ってほしいと思います。「平均点上昇」の裏側を見てほしい。今の歯科医師国家試験を考える時に僕は「難しくなった」「易しくなった」という二択で考えるべきではないと思っています。
試験範囲は広がっています。指定教科書は増えています。教科書自体も改訂によって厚くなっています。一方で各大学では卒業判定によって学生が選別されます。その結果で歯科国試を受験する現役生の集団は学年全体よりも一定の学力を持つ学生に絞られます。そのため受験生平均点が上昇する。これが現在の歯科国試を考える上で重要な構造の一つです。
ですから「平均点が上がったから試験は簡単になった」とは考えないでください。むしろ「範囲が広がった試験を選別された受験生が受験しているため平均点が上昇している」という視点を是非持ってください。そうすれば自分が何をしなければならないのかが見えてきます。
最後に全受験生のみなさんへ
歯科国試の数字を見ることは大切です。合格率を見る。平均点を見る。合格基準を見る。しかし数字だけを見てはいけません。その数字がどのような構造の中で生まれているのかを見ることが必要です。そして受験生自身がやるべきことは平均点を追いかけることではありません。自分の知識を完成させることです。試験範囲が広がったのであればその範囲を一つずつ勉強する。教科書が増えたのであればその教科書を読む。教科書が改訂されたのであれば新しい内容も確認する。過去問を解いたら教科書に戻る。分からないところから逃げない。これが基本です。
歯科国試の時代が変わっても勉強の本質は全く変わりません。教科書を知ること。理解すること。問題を解くこと。そしてまた教科書に戻ること。平均点が上昇しているからといって安心してはいけません。しかし必要以上に恐れる必要もありません。試験の構造を正しく理解し、自分がやるべきことを明確にすることです。僕はこれからの歯科医師国家試験に向き合う学生にぜひこのことを知ってほしいと思っています。
平均点の数字を見るのではなく数字の裏側を見る。
そして自分自身の知識を見る。試験範囲が広がったのであれば学ぶ範囲を広げる。それだけです。最後まで教科書を閉じないこと。それがこれからの歯科医師国家試験に向き合う上で最も基本的で最も確かな姿勢だと私は考えています。
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歯科医師国家試験、歯科国試合格、歯科大学卒業・進級・留年、卒国試過去問、オンライン、CBT、歯科国試直前講習等をテーマに今後もコラム・よくある質問を公開させて頂く予定です。
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政策委員長談話「需給問題が歯科医師の質低下に」/機関紙2017年6月1日号(№567)2面掲載
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