塾長コラム
合格に精神論は必要ないー教科書を知れば良いー|塾長コラム134 公開させて頂きました。
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各歯科大学生と既卒生のみなさん、こんにちは、弘中塾の弘中 崇です。
本日は
どうぞ最後迄宜しくお願い致します。
「そろそろ歯科医師国家試験を意識しなければならない」
「6年生になったら大変になる」
「今から本気でやらないと間に合わない」
確かに5年生は非常に大切な時期です。6年生になれば大学の卒業試験が始まり歯科国試も現実的な目標になってきます。大学によっては6年生の春からさまざまな試験が始まります。しかしだからといって5年生のみなさんに必要なのは「気合い」「根性」なのでしょうか。
僕はそうは思いません。むしろ5年生の段階で必要なのは精神論ではなく教科書を知ることです。ここでいう「教科書を知る」とは教科書を一度読んだことがあるという意味ではありません。
「この病気は何か」「なぜこの症状が出るのか」「診断には何を見るのか」「治療はどう考えるのか」「その背景にある基礎医学は何なのか」こうしたことが教科書を開いたときに自分の頭の中でつながっている状態です。
5年生になると、基礎だけを勉強していればよいわけではありません。臨床を学ぶ中で「これは4年生までに勉強したあの内容とつながっている」と気づくことが大切です。逆に基礎が曖昧なまま臨床だけを覚えようとすると覚える量がどんどん増えていきます。そして覚えたはずなのに問題になると解けないということが起こります。
これは能力がないからではありません。知識がつながっていないからです。5年生のみなさんに僕は「今から歯科医師国家試験のすべてを勉強しなさい」と言いたいのではありません。むしろ今のうちにやってほしいのは教科書を中心にして基礎と臨床の土台を作ることです。問題を解くことも必要です。しかし問題を解いた後に大切なのは「正解した」「間違えた」で終わらないことです。
なぜその答えになるのか。他の選択肢はなぜ違うのか。教科書のどこに書いてあるのか。そこまで確認してください。そうすると問題が単なる問題ではなくなります。一つの問題から教科書の一つの項目が見えてきます。そしてその項目から関連する病気や診断・治療・基礎医学まで見えてくるようになります。
これが「教科書を知る」ということです。5年生の今はまだ時間があります。だからこそ焦って大量の問題を消化するよりも「分からないものを分からないままにしない」という勉強をしてほしいと思います。
6年生になってから卒業(学士)試験と歯科医師国家試験を前にして「もっと早く教科書を読んでおけばよかった」と思う学生は少なくありません。しかし5年生の今ならそれを防ぐことができます。そしてもう一つ5年生のみなさんに伝えたいことがあります。
「自分は勉強が苦手だから歯科医師国家試験は難しい」「成績が良くないから、合格できない」このように考えて必要以上に自分を追い込まないでください。合格は精神力だけで決まるものではありません。必要な知識を身につけ理解し問題を解き間違えたところを戻って確認する。この繰り返しによって少しずつ力はついていきます。もちろん簡単なことではありません。しかし難しいこととできないことは違います。5年生の今だからこそ焦りではなく正しい順序で勉強を始めてください。
教科書を開く。読む。理解する。問題を解く。教科書に戻る。また問題を解く。この繰り返しです。特別な精神論は必要ありません。必要なのは毎日の積み重ねです。そしてその積み重ねの中心に教科書があれば6年生になったときの景色は大きく変わります。5年生の一年間を単なる「歯科医師国家試験の前の一年」と考えないでください。
6年生で苦しまないための一年です。そして卒業と国家試験合格を同時に目指すための一年です。
焦らなくても構いません。しかし先送りはしないでください。今日教科書を開くことから始めてください。合格に必要なのは特別な精神力ではありません。
教科書を知ることです。
「本当に間に合うのだろうか」「この成績で卒業できるのだろうか」「歯科医師国家試験に合格できるのだろうか」そう考えて不安になる学生もいると思います。しかし僕は6年生のみなさんにまず一つ伝えたいことがあります。
合格に精神論は必要ないです。
「もっと頑張らなければならない」「寝る時間を削らなければならない」「人より勉強しなければならない」もちろん努力は必要です。しかし不安になったときにただ勉強時間だけを増やしても必ずしも成績は上がりません。6年生で本当に考えてほしいのは自分は何を知っていて何を知らないのか。
そして知っているつもりになっているものは何なのか。ということです。その確認をするために私は教科書に戻ることを強く勧めます。歯科医師国家試験の勉強というとどうしても過去問や問題集が中心になります。もちろん過去問は非常に重要です。しかし過去問を解いて正解しただけでは歯科医師国家試験に必要な知識が完成したとはいえません。問題の答えを覚えるだけではなくその問題の背景にある知識を理解しているかが重要です。
例えば一つの疾患について問われたとします。その疾患の名称を知っている。症状を知っている。治療法を知っている。それだけで終わらせないでください。なぜその症状が出るのか。なぜその診断が必要なのか。なぜその治療を選ぶのか。その背景にはどのような基礎医学があるのか。そこまで戻って確認することです。
そうすると一つの問題が一つの知識ではなくなります。複数の知識がつながります。歯科医師国家試験ではこの「つながった知識」が非常に重要になります。6年生になると時間がないと感じると思います。確かに卒業(学士)試験や国家試験を考えれば、無限に時間があるわけではありません。だからこそ勉強を広げすぎないことです。
「まだ知らないことがたくさんある」と焦って次から次へと教材を増やしてはいけません。今使っている教科書を確認してください。今使っている問題集を確認してください。そして間違えた問題について教科書に戻ってください。問題集から教科書へ戻る。これを繰り返すことで、自分の弱点が具体的になります。
「私は歯周病が苦手です」「保存が苦手です」「社会保障が苦手です」それだけではまだ曖昧です。どの部分が分からないのか。用語なのか。病態なのか。診断なのか。治療なのか。あるいは基礎医学とのつながりなのか。そこまで細かくしていく必要があります。そしてもう一つ大切なのは、「できない自分」を責めすぎないことです。
6年生のこの時期になると成績が思うように伸びないことで自信を失う学生がいます。しかし成績が伸びないことと合格できないことは同じではありません。勉強の方法を見直せばよいのです。順番を変えればよいのです。必要なところに戻ればよいのです。もちろん残された時間には限りがあります。だからこそ精神論ではなく具体的に考える必要があります。
「あと何点必要なのか」「どの科目で点数を取るのか」「そのために何を知る必要があるのか」「その知識は教科書のどこにあるのか」ここまで落とし込んでください。勉強は気持ちだけでは進みません。具体的な行動に変えたときに初めて進みます。
「頑張ります」ではなく「今日はこの範囲を教科書で確認します」「この問題を解き直します」「間違えた理由を確認します」というところまで具体化してください。歯科医師国家試験は自分の精神力を競う試験ではありません。必要な知識を身につけそれを問題の中で使えるかを問われる試験です。だから必要以上に恐れる必要はありません。
今の自分を冷静に見てください。そして教科書を開いてください。分からなければ戻ればよいのです。忘れていたらもう一度覚えればよいのです。一度で覚えられなければ繰り返せばよいのです。
教科書を閉じたまま不安だけを大きくしないでください。
教科書を開けばやるべきことが見えてきます。6年生の今必要なのは精神論ではありません。「自分は何を知っているのか」を確認すること。そして「何を知らないのか」を認めること。そのうえで教科書に戻ることです。合格は気持ちの強さだけでは近づいてきません。
教科書を知ることから歯科国試合格の道が始まります。
もちろん合格したいという気持ちは大切です。しかし「今年こそ頑張る」「去年以上に勉強する」という気持ちだけでは昨年と同じ結果になる可能性があります。既卒生のみなさんに必要なのはまず昨年までの勉強を冷静に振り返ることです。
そしてその中心に置いてほしいのが教科書です。
既卒生になるとどうしても過去問中心の勉強になりやすくなります。何年分も問題を解き正解を覚え間違えた問題をチェックする。それ自体は必要な勉強です。しかし何度も受験しているにもかかわらず結果が変わらないのであれば一度立ち止まって考える必要があります。
「問題を解いているのに、なぜ点数が上がらないのか。」その理由の一つは問題の答えは覚えていてもその問題の背景にある知識を十分に理解していないことです。歯科医師国家試験では同じ内容が同じ文章で出題されるとは限りなくありません。問われ方が変われば答えられなくなる。少し条件が変わると迷ってしまう。これはその知識を「知っている」のではなく「見たことがある」だけかもしれません。だからこそ教科書に戻る必要がありそれしか方法がありません。
一つの問題を間違えたらその答えだけを覚えるのではありません。なぜその答えなのか。その疾患はどういうものなのか。どのような病態なのか。診断はどう考えるのか。治療はなぜそうするのか。関連する基礎医学は何なのか。教科書を開いて確認してください。そしてできれば自分の言葉で説明してみてください。
説明できなければまだ十分に理解できていない可能性があります。既卒生にとって大切なのは「去年よりたくさん勉強すること」だけではありません。去年と違う勉強をすることです。去年と同じ時間に起き去年と同じ教材を使い去年と同じように問題を解き去年と同じところで間違えているのであれば、結果だけを変えることは難しくなります。だから変えるべきところは変えてください。特に何度も受験している人ほど「自分はこれだけやってきた」という経験があります。その経験は大切です。
しかしその経験が逆に「自分はこの方法でやってきた」という固定観念になってはいけません。過去問を何年分やったか。問題集を何周したか。何時間勉強したか。これだけでは合否は決まりません。重要なのは何を理解できるようになったかです。そして既卒生のみなさんにはもう一つ考えてほしいことがあります。「今年こそ合格したい」という気持ちの先に本当に「歯科医師になりたい」という思いがあるのか。これは厳しい質問かもしれません。しかし何年も受験を続けている人ほど一度自分自身に問いかけてほしいと思います。
「なぜ私はもう一度受験するのか。」「何を変えて今年合格するのか。」ただ去年の続きをするためではありません。もう一度受験するということには昨年までの自分を変える覚悟も必要です。ただしそれは精神論ではありません。勉強方法を変える。教材を絞る。教科書に戻る。理解できていないところを認める。必要なら人に質問する。そして毎日繰り返す。これが現実的な「変化」です。
僕は既卒生のみなさんに「もっと頑張れ」とだけ言いたいのではありません。むしろ頑張ってきたからこそ今までの方法を一度見直してほしいのです。合格に必要なのは自分を追い込むことではありません。自分の弱点を正確に知ることです。そしてその弱点を一つずつ埋めていくことです。教科書は現役生だけのものではありません。むしろ何度も歯科医師国家試験に向き合ってきた既卒生だからこそもう一度教科書に戻る意味があります。
問題の答えを覚える勉強から問題の背景を理解する勉強へ。「やったつもり」の勉強から、「説明できる」勉強へ。去年と同じ勉強から今年の合格につながる勉強へ。その出発点は決して特別な教材ではありません。目の前にある教科書です。不安になったら教科書を開いてください。迷ったら教科書に戻ってください。そして分からないところを一つずつ確認してください。
合格に精神論は必要ありません。必要なのは知ること・理解すること・繰り返すこと。そして最後まで自分の勉強を変え続けることです。今年の受験を昨年の繰り返しにしないでください。教科書を知ることから今年の合格を始めてほしいです。
弘中塾 塾長 弘中 崇
追記=====
歯科医師国家試験、歯科国試合格、歯科大学卒業・進級・留年、卒国試過去問、オンライン、CBT、歯科国試直前講習等をテーマに今後もコラム・よくある質問を公開させて頂く予定です。
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政策委員長談話「需給問題が歯科医師の質低下に」/機関紙2017年6月1日号(№567)2面掲載
厚労省歯科医師国家試験関連サイト
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各歯科大学生と既卒生のみなさん、こんにちは、弘中塾の弘中 崇です。
本日は
合格に精神論は必要ない――教科書を知れば良い
|塾長コラム133 公開させて頂きました。どうぞ最後迄宜しくお願い致します。
現役5年生のみなさんへ
5年生になると周囲からさまざまな言葉を聞くようになります。「そろそろ歯科医師国家試験を意識しなければならない」
「6年生になったら大変になる」
「今から本気でやらないと間に合わない」
確かに5年生は非常に大切な時期です。6年生になれば大学の卒業試験が始まり歯科国試も現実的な目標になってきます。大学によっては6年生の春からさまざまな試験が始まります。しかしだからといって5年生のみなさんに必要なのは「気合い」「根性」なのでしょうか。
僕はそうは思いません。むしろ5年生の段階で必要なのは精神論ではなく教科書を知ることです。ここでいう「教科書を知る」とは教科書を一度読んだことがあるという意味ではありません。
「この病気は何か」「なぜこの症状が出るのか」「診断には何を見るのか」「治療はどう考えるのか」「その背景にある基礎医学は何なのか」こうしたことが教科書を開いたときに自分の頭の中でつながっている状態です。
5年生になると、基礎だけを勉強していればよいわけではありません。臨床を学ぶ中で「これは4年生までに勉強したあの内容とつながっている」と気づくことが大切です。逆に基礎が曖昧なまま臨床だけを覚えようとすると覚える量がどんどん増えていきます。そして覚えたはずなのに問題になると解けないということが起こります。
これは能力がないからではありません。知識がつながっていないからです。5年生のみなさんに僕は「今から歯科医師国家試験のすべてを勉強しなさい」と言いたいのではありません。むしろ今のうちにやってほしいのは教科書を中心にして基礎と臨床の土台を作ることです。問題を解くことも必要です。しかし問題を解いた後に大切なのは「正解した」「間違えた」で終わらないことです。
なぜその答えになるのか。他の選択肢はなぜ違うのか。教科書のどこに書いてあるのか。そこまで確認してください。そうすると問題が単なる問題ではなくなります。一つの問題から教科書の一つの項目が見えてきます。そしてその項目から関連する病気や診断・治療・基礎医学まで見えてくるようになります。
これが「教科書を知る」ということです。5年生の今はまだ時間があります。だからこそ焦って大量の問題を消化するよりも「分からないものを分からないままにしない」という勉強をしてほしいと思います。
6年生になってから卒業(学士)試験と歯科医師国家試験を前にして「もっと早く教科書を読んでおけばよかった」と思う学生は少なくありません。しかし5年生の今ならそれを防ぐことができます。そしてもう一つ5年生のみなさんに伝えたいことがあります。
「自分は勉強が苦手だから歯科医師国家試験は難しい」「成績が良くないから、合格できない」このように考えて必要以上に自分を追い込まないでください。合格は精神力だけで決まるものではありません。必要な知識を身につけ理解し問題を解き間違えたところを戻って確認する。この繰り返しによって少しずつ力はついていきます。もちろん簡単なことではありません。しかし難しいこととできないことは違います。5年生の今だからこそ焦りではなく正しい順序で勉強を始めてください。
教科書を開く。読む。理解する。問題を解く。教科書に戻る。また問題を解く。この繰り返しです。特別な精神論は必要ありません。必要なのは毎日の積み重ねです。そしてその積み重ねの中心に教科書があれば6年生になったときの景色は大きく変わります。5年生の一年間を単なる「歯科医師国家試験の前の一年」と考えないでください。
6年生で苦しまないための一年です。そして卒業と国家試験合格を同時に目指すための一年です。
焦らなくても構いません。しかし先送りはしないでください。今日教科書を開くことから始めてください。合格に必要なのは特別な精神力ではありません。
教科書を知ることです。
現役6年生のみなさんへ
6年生になると周囲の空気が大きく変わります。卒業(学士)試験・歯科医師国家試験・全国模擬試験に大学からのさまざまな指示。「本当に間に合うのだろうか」「この成績で卒業できるのだろうか」「歯科医師国家試験に合格できるのだろうか」そう考えて不安になる学生もいると思います。しかし僕は6年生のみなさんにまず一つ伝えたいことがあります。
合格に精神論は必要ないです。
「もっと頑張らなければならない」「寝る時間を削らなければならない」「人より勉強しなければならない」もちろん努力は必要です。しかし不安になったときにただ勉強時間だけを増やしても必ずしも成績は上がりません。6年生で本当に考えてほしいのは自分は何を知っていて何を知らないのか。
そして知っているつもりになっているものは何なのか。ということです。その確認をするために私は教科書に戻ることを強く勧めます。歯科医師国家試験の勉強というとどうしても過去問や問題集が中心になります。もちろん過去問は非常に重要です。しかし過去問を解いて正解しただけでは歯科医師国家試験に必要な知識が完成したとはいえません。問題の答えを覚えるだけではなくその問題の背景にある知識を理解しているかが重要です。
例えば一つの疾患について問われたとします。その疾患の名称を知っている。症状を知っている。治療法を知っている。それだけで終わらせないでください。なぜその症状が出るのか。なぜその診断が必要なのか。なぜその治療を選ぶのか。その背景にはどのような基礎医学があるのか。そこまで戻って確認することです。
そうすると一つの問題が一つの知識ではなくなります。複数の知識がつながります。歯科医師国家試験ではこの「つながった知識」が非常に重要になります。6年生になると時間がないと感じると思います。確かに卒業(学士)試験や国家試験を考えれば、無限に時間があるわけではありません。だからこそ勉強を広げすぎないことです。
「まだ知らないことがたくさんある」と焦って次から次へと教材を増やしてはいけません。今使っている教科書を確認してください。今使っている問題集を確認してください。そして間違えた問題について教科書に戻ってください。問題集から教科書へ戻る。これを繰り返すことで、自分の弱点が具体的になります。
「私は歯周病が苦手です」「保存が苦手です」「社会保障が苦手です」それだけではまだ曖昧です。どの部分が分からないのか。用語なのか。病態なのか。診断なのか。治療なのか。あるいは基礎医学とのつながりなのか。そこまで細かくしていく必要があります。そしてもう一つ大切なのは、「できない自分」を責めすぎないことです。
6年生のこの時期になると成績が思うように伸びないことで自信を失う学生がいます。しかし成績が伸びないことと合格できないことは同じではありません。勉強の方法を見直せばよいのです。順番を変えればよいのです。必要なところに戻ればよいのです。もちろん残された時間には限りがあります。だからこそ精神論ではなく具体的に考える必要があります。
「あと何点必要なのか」「どの科目で点数を取るのか」「そのために何を知る必要があるのか」「その知識は教科書のどこにあるのか」ここまで落とし込んでください。勉強は気持ちだけでは進みません。具体的な行動に変えたときに初めて進みます。
「頑張ります」ではなく「今日はこの範囲を教科書で確認します」「この問題を解き直します」「間違えた理由を確認します」というところまで具体化してください。歯科医師国家試験は自分の精神力を競う試験ではありません。必要な知識を身につけそれを問題の中で使えるかを問われる試験です。だから必要以上に恐れる必要はありません。
今の自分を冷静に見てください。そして教科書を開いてください。分からなければ戻ればよいのです。忘れていたらもう一度覚えればよいのです。一度で覚えられなければ繰り返せばよいのです。
教科書を閉じたまま不安だけを大きくしないでください。
教科書を開けばやるべきことが見えてきます。6年生の今必要なのは精神論ではありません。「自分は何を知っているのか」を確認すること。そして「何を知らないのか」を認めること。そのうえで教科書に戻ることです。合格は気持ちの強さだけでは近づいてきません。
教科書を知ることから歯科国試合格の道が始まります。
既卒生(浪人生)のみなさんへ
既卒生のみなさんにこの時期だからこそ考えてほしいことがあります。「今年こそ合格する」その気持ちは当然だと思います。何度も受験している人であれば「もう今年しかない」「絶対に合格しなければならない」と自分自身に強いプレッシャーをかけているかもしれません。しかし僕はあえて申し上げます。合格に精神論は必要ないです。もちろん合格したいという気持ちは大切です。しかし「今年こそ頑張る」「去年以上に勉強する」という気持ちだけでは昨年と同じ結果になる可能性があります。既卒生のみなさんに必要なのはまず昨年までの勉強を冷静に振り返ることです。
そしてその中心に置いてほしいのが教科書です。
既卒生になるとどうしても過去問中心の勉強になりやすくなります。何年分も問題を解き正解を覚え間違えた問題をチェックする。それ自体は必要な勉強です。しかし何度も受験しているにもかかわらず結果が変わらないのであれば一度立ち止まって考える必要があります。
「問題を解いているのに、なぜ点数が上がらないのか。」その理由の一つは問題の答えは覚えていてもその問題の背景にある知識を十分に理解していないことです。歯科医師国家試験では同じ内容が同じ文章で出題されるとは限りなくありません。問われ方が変われば答えられなくなる。少し条件が変わると迷ってしまう。これはその知識を「知っている」のではなく「見たことがある」だけかもしれません。だからこそ教科書に戻る必要がありそれしか方法がありません。
一つの問題を間違えたらその答えだけを覚えるのではありません。なぜその答えなのか。その疾患はどういうものなのか。どのような病態なのか。診断はどう考えるのか。治療はなぜそうするのか。関連する基礎医学は何なのか。教科書を開いて確認してください。そしてできれば自分の言葉で説明してみてください。
説明できなければまだ十分に理解できていない可能性があります。既卒生にとって大切なのは「去年よりたくさん勉強すること」だけではありません。去年と違う勉強をすることです。去年と同じ時間に起き去年と同じ教材を使い去年と同じように問題を解き去年と同じところで間違えているのであれば、結果だけを変えることは難しくなります。だから変えるべきところは変えてください。特に何度も受験している人ほど「自分はこれだけやってきた」という経験があります。その経験は大切です。
しかしその経験が逆に「自分はこの方法でやってきた」という固定観念になってはいけません。過去問を何年分やったか。問題集を何周したか。何時間勉強したか。これだけでは合否は決まりません。重要なのは何を理解できるようになったかです。そして既卒生のみなさんにはもう一つ考えてほしいことがあります。「今年こそ合格したい」という気持ちの先に本当に「歯科医師になりたい」という思いがあるのか。これは厳しい質問かもしれません。しかし何年も受験を続けている人ほど一度自分自身に問いかけてほしいと思います。
「なぜ私はもう一度受験するのか。」「何を変えて今年合格するのか。」ただ去年の続きをするためではありません。もう一度受験するということには昨年までの自分を変える覚悟も必要です。ただしそれは精神論ではありません。勉強方法を変える。教材を絞る。教科書に戻る。理解できていないところを認める。必要なら人に質問する。そして毎日繰り返す。これが現実的な「変化」です。
僕は既卒生のみなさんに「もっと頑張れ」とだけ言いたいのではありません。むしろ頑張ってきたからこそ今までの方法を一度見直してほしいのです。合格に必要なのは自分を追い込むことではありません。自分の弱点を正確に知ることです。そしてその弱点を一つずつ埋めていくことです。教科書は現役生だけのものではありません。むしろ何度も歯科医師国家試験に向き合ってきた既卒生だからこそもう一度教科書に戻る意味があります。
問題の答えを覚える勉強から問題の背景を理解する勉強へ。「やったつもり」の勉強から、「説明できる」勉強へ。去年と同じ勉強から今年の合格につながる勉強へ。その出発点は決して特別な教材ではありません。目の前にある教科書です。不安になったら教科書を開いてください。迷ったら教科書に戻ってください。そして分からないところを一つずつ確認してください。
合格に精神論は必要ありません。必要なのは知ること・理解すること・繰り返すこと。そして最後まで自分の勉強を変え続けることです。今年の受験を昨年の繰り返しにしないでください。教科書を知ることから今年の合格を始めてほしいです。
弘中塾 塾長 弘中 崇
追記=====
今回の3本は同じ「教科書」というテーマでも5年生・6年生・既卒生で置かれている状況が違うことを意識して書き分けました。
特に今回のタイトル「合格に精神論は必要ない――教科書を知れば良い」は当塾の考え方をかなりはっきり出しました。
「もっと頑張れ」ではなく「何を知っているのか何を知らないのかを確認する」。そして最後は教科書に戻る。
この考え方は、現役生にも既卒生にも共通して伝えたい当塾のメッセージです。
歯科医師国家試験、歯科国試合格、歯科大学卒業・進級・留年、卒国試過去問、オンライン、CBT、歯科国試直前講習等をテーマに今後もコラム・よくある質問を公開させて頂く予定です。
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政策委員長談話「需給問題が歯科医師の質低下に」/機関紙2017年6月1日号(№567)2面掲載
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