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歯科大学卒・学士試験と歯科国試受験対策とは|塾長コラム65

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各歯科大学生と既卒生のみなさん、こんにちは、弘中塾の弘中 崇です。

本日は2025年春から塾へ頂きましたお問い合わせの中から特に多いご質問に絞りコラムに公開させて頂きました。

 

歯科医師国家試験:合格者数・合格率

最新例(第118回・2025年・出典)



  • 出願者数:2,310人(新卒枠) 厚生労働省


  • 受験者数:3,039人(新卒+既卒合計) 厚生労働省


  • 合格者数:2,136人 旺文社 教育情報センター


  • 合格率(全体):70.3% 旺文社


  • 新卒合格率:84.0% 旺文社


  • 既卒(浪人含む既卒者)合格率:44.9% 旺文社 


  • また、大学別では最高合格率:東京歯科大学 95.6%


  • 公立・国立 vs 私立では、国立・公立大学の平均合格率が高め:国立平均 80.4%、公立 77.2%、私立 67.2%

過去10年間の推移(新卒中心)

「過去10年間の歯科医師国家試験(新卒・既卒)受験者数・合格者数・合格率の推移」も公開されています。
例えば、新卒者については以下のような傾向があります:




  • 令和5年(第116回):出願 2,383人、受験 1,919人、合格 1,483人、合格率 77.3%


  • 令和6年(第117回):出願 2,358人、受験 1,962人、合格 1,600人、合格率 81.5%

これらから新卒者の合格率はだいたい 70〜80%台前半 に分布していることが多いです。

 




歯学部の留年・修業年限通り卒業率

歯学部における「標準修業年限(6年)での卒業/留年経験率」に関して、以下のような情報があります。




  • 私立大学歯学部では、6年間で一度も留年せずに国家試験一発合格できる学生が約 45.0% であるという報告があります。つまり、半数以上が何らかの留年または国試浪人を経験する可能性があるとされています。


  • 一方、国立大学歯学部では、「6年で留年せずに卒業+そのまま国家試験合格」に至る割合が国立大学全体で 70.9% というデータもあります。つまり、国立では比較的留年・浪人率が低めとの報告です。


  • ある私立大学では、令和6年度における“標準修業年限内卒業かつ国家試験合格者の割合”が 39% というデータがあります。さらに、6年次在籍者(6年生在籍数)に対して、卒業できず留年している学生が 約21% を占めるとの記載もあります。


  • また、留年率(学年別)は大学・年により幅が非常に大きく、1年次で 1〜26.6%、2年次で 7〜44.9%、3年次 3〜45.2%、4年次 3〜51.7%、5年次 2〜47.9%、6年次 3〜69.6%といった範囲が示されている報告もあります。

このように、「留年・延長」は歯学部では非常に珍しくない現象となっています。






歯科国試浪人(既卒受験者を含む)についての傾向・合格率

「歯科国試浪人」とは、卒業後に歯科医師国家試験を再度受験する既卒者を指すことが多いです。以下、報じられている傾向を示します。




  • 浪人生(既卒受験者を中心としたグループ)の合格率は、30%台後半〜40%台という報告が複数あります。


  • 第116回における浪人生の合格率は 42.2% というデータもあります(現役生の合格率が77.3%という報告と併記されている)


  • 多浪(何度も歯科医師国家試験を再挑戦する人)になるほど合格率が下がる傾向も指摘されています。


  • 歯科大学側が歯科医師国家試験合格率を重視する関係で成績不良者をあらかじめ留年させたり6年時点で卒業を延長させたりする動きがあるという指摘もありますが不明です。過去10年間の推移(新卒中心)








「過去10年間の歯科医師国家試験(新卒・既卒)受験者数・合格者数・合格率の推移」も公開されています。
例えば、新卒者については以下のような傾向があります:




  • 令和5年(第116回):出願 2,383人、受験 1,919人、合格 1,483人、合格率 77.3%


  • 令和6年(第117回):出願 2,358人、受験 1,962人、合格 1,600人、合格率 81.5%

これらから、新卒者の合格率はだいたい 70〜80%台前半 に分布していることが多いです。













国公立歯科大学と私立歯科大学 ― その実態と展望

1. はじめに

日本の歯科医師養成機関は、全国に29大学の歯学部・歯科大学が存在しています。その内訳は、国公立大学が11校、私立大学が17校です。国立・公立は設立母体が政府や地方自治体であり私立は学校法人が運営しています。両者は「歯科医師国家試験合格」を最終目標にしている点で共通していますが、教育環境、学費、入試難易度、学生のバックグラウンド、卒業後の進路などに違いがあります。

このコラムでは、国公立と私立の歯科大学を比較しながら、日本の歯科医療人材養成の現状と課題について考察します。






2. 設立の歴史と背景

国公立の歯学部は、戦後の医療制度整備や地域医療需要に応えるために設立されたものが多いです。代表的な例として、東京医科歯科大学歯学部は1928年の創立で、日本の歯科医学教育の中心的存在です。他にも北海道大学、東北大学、新潟大学、広島大学、九州大学などの旧帝国大学系統が歯学部を有しており、研究力や教育資源に優れています。

さらに、大阪大学歯学部や岡山大学歯学部、徳島大学歯学部なども、地域の歯科医療を支える役割を担ってきました。

一方、私立歯科大学は高度経済成長期に急増しました。戦後の人口増加や口腔保健需要の高まりに対応するため、多くの私立学校法人が歯学部を設置しました。松本歯科大学、日本大学松戸歯学部、昭和医科大学歯学部、東京歯科大学、朝日大学歯学部などはその代表です。

しかし、その後の人口減少や歯科医院の飽和により、様々な問題にも直面する様になりました。






3. 入試難易度と学生層

国公立歯学部は一般に入試難易度が高く、共通テストと二次試験で高得点が要求されています。偏差値的には医学部に次ぐ水準に位置しており、理系科目の基礎学力がしっかりした学生が集まる傾向が強いです。受験者は全国から集まり、上位層の学生が進学するケースが多いです。

私立歯科大学は、大学によって偏差値や入試方式に大きな差がああります。伝統ある東京歯科大学や昭和医科大学、日本歯科大学などは依然として難易度が比較的高めですが、多くの大学では定員充足が課題となっている所もあります。そのため、私立歯科大学歯学部は学生の学力層が幅広く、国公立に比べると入学後の学習支援がより必要となってます。






4. 学費と経済的負担

最大の違いは学費と見て良いです。国立大学の学費は、6年間で約350万円(入学金・授業料合計)程度に抑えられています。公立大学も同水準かやや高めですが略この様な感じです。一方、私立歯科大学では6年間で総額2,000万円以上かかるケースが多いです。特に松本歯科大学などは2,500万円近い学費となる場合もあります。

近年は奨学金制度や特待生制度を導入する私立大学も増えていますが、依然として経済的負担の大きさが入学ハードルとなっています。






5. 教育体制と学習環境

国公立歯学部は学生数が少なく(1学年40〜60人程度)、少人数教育が可能です。また、研究費や附属病院の規模に恵まれており、最先端の歯科医療を学ぶ機会が多いです。特に大学院進学や基礎研究志向の学生には有利な環境が整っているのが現状です。

私立歯科大学は規模が大きく、1学年100人以上を抱える大学も多いです。臨床実習や学生支援においては大量の学生を受け入れるためのシステムが整備されており、幅広い臨床経験を積める点が利点です。近年は学力補習プログラムやOSCE対策、歯科医師国家試験対策講座などを充実させ、教育の質向上を図る大学が増えています。






6. 歯科医師国家試験合格率

厚生労働省が毎年公表する歯科医師国家試験合格率を見ますと、国公立は平均80%前後、私立は60〜70%台にとどまるケースが多いです。例えば、第118回(2025年)の結果では、国立平均80.4%、公立77.2%、私立67.2%でした。東京歯科大学や昭和医科大学など一部の私立は高水準を維持していますが、全体では国公立との差が大きい事が現状です。

この背景には、入学時の学力差や、大学による進級判定の厳しさが影響しています。国公立は学力層が厚く、また不適格者を早期に進級させない仕組みがああります。一方、私立は色々な理由から進級判定を緩めざるを得ないこともあり、最終学年や卒業時点で歯科医師国家試験受験資格を得られない学生も多いです。






7. 留年率と歯科国試浪人(既卒)生

歯学部は医学部と同様、進級判定が厳しい学部です。国立大学では標準修業年限で卒業し、ストレートで歯科国試合格に至る学生が約70%とされています。私立大学ではその割合は40%前後にとどまり、過半数が留年や浪人を経験しています。学年別留年率を見ると、大学によっては4年次や6年次で30〜50%が留年するケースも報告されています。

歯科大学卒業後に歯科国試を受験する浪人(既卒)生の合格率は、概ね30〜45%程度であり、新卒者の70〜80%に比べて著しく低いです。浪人が長期化するほど合格率はさらに下がり、複数回不合格を経験すると合格が困難になるという現実もあります。

そのため、各大学は在学中の歯科医師国家試験対策を強化し、「留年によって学力を補強し、合格可能性を高める」戦略を取るようになっている様です。






8. 歯科大学卒業後の進路

歯科医師免許取得後の進路は、かつては開業が主流でした。しかし、現在では歯科医院の数が飽和状態にあり、新規開業は容易ではありません。そのため、歯科大学卒業後は大学病院や総合病院での研修、既存歯科医院への勤務が一般的と成りました。国公立出身者は大学院進学や研究職を志す割合が高い傾向がある一方で私立出身者は臨床現場に早期に出ることが多いです。

また、近年は口腔外科や矯正歯科、小児歯科など専門医制度が非常に充実整備され、卒後研修や大学院教育の重要性が増しています。国公立は研究機関としての機能が強く、私立は臨床家育成に重点を置くという棲み分けも見られるています。






9. 今後の課題

日本の歯科医療は、人口減少と高齢化、予防歯科の普及により、歯科医師需要の伸びが鈍化しています。その一方で、歯学部の定員は大きく削減されていないため、供給過剰が指摘されているのが現状です。特に私立大学は定員割れ等に悩まされており、統廃合や再編の可能性も議論されていますが進んでおりません。

一方で、地域歯科医療や高齢者の口腔ケア、全身疾患と口腔の関連研究など、新たな役割も求められています。国公立は研究・高度医療でリーダーシップを発揮し、私立は地域密着型の臨床教育を担うといった役割分担が期待されています。また、歯科国試合格率の改善や教育の質保証は、両者に共通する重要課題と成っています。






10. 最後に

国公立と私立の歯科大学は、それぞれに強みと課題を多く抱えています。国公立は学費の安さと教育研究水準の高さで優位にありますが、定員が少なく入学のハードルが高いです。私立は学費負担が大きく、合格率でも苦戦している所がありますが、多くの歯科医師を輩出し地域医療を支える重要な役割を果たしています。

今後は、両者が補完的に機能しながら、日本の歯科医療の質を高めていくことが求められていると思われます。


以上に成りますが僕自身の聞き取りや私見が多く含まれている事や調査不足もありますのでその点はご容赦頂きたくお願いします。

お題にもあります「受験対策」はこれらの内容と踏まえますとどうしても卒・学士試験対策には2年間要します。更に歯科国試対策を入れますと本当は4年生からの後半3年間があれば充分間に合うと考えています。勿論CBT対策がこれに含まれますので同試験が70点近辺ではそれ以降の道程が険しい事が大変多いです。

この様な苦労を絶対に避ける為にも先ずはご家族内で話し合うだけでは無く一本ご連絡を頂きたくお願い申し上げます。

他にも調査した資料がありますが今回は以上の項目でご質問にご回答させて頂きました。

今後もメールやお電話内容を「よくある質問」「塾長コラム」等で公開させて頂きます。


どうぞ宜しくお願い致します。


弘中塾

弘中 崇


歯科医師国家試験、歯科国試合格、歯科大学卒業・進級・留年、卒国試過去問、オンライン、CBT、歯科国試直前講習等をテーマに今後もコラム・よくある質問を公開させて頂く予定です。

モバイル弘中塾 (https://h-kobetsu.com/lp/mobile-hironakajuku/)

講義コース (https://h-kobetsu.com/course/) 政策委員長談話「需給問題が歯科医師の質の低下に」/機関紙2017年6月1日号(№567)2面掲載 (https://www.tokyo-sk.com/featured/10655/)

https://youtu.be/6Rwnd7dZrDY
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