塾長コラム
教科書を読める学生はなぜ強いのか|塾長コラム91 公開させて頂きました
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各歯科大学生と既卒生のみなさん、こんにちは、弘中塾の弘中 崇です。
今日の塾長コラムは
教科書を読める学生はなぜ強いのか
―歯科医師国家試験における“理解する力”の本質―
公開させて頂きました。
どうぞ最後迄宜しくお願い致します。
歯科医師国家試験の指導を長く続けていますと成績が安定している学生には共通点があることに気付きます。それは決して特別な才能ではありません。むしろ非常に基本的なことですが、「教科書を読むことが出来る学生」であるという点です。
一見すると当たり前のように聞こえるかもしれません。しかし実際には教科書を本当の意味で読むことが出来る学生は決して多くありません。
多くの学生は「教科書を持っています」。しかし「教科書を読めている学生」はそれほど多くないのです。この二つは似ているようで実は全く違う意味を持っています。
歯科医師国家試験の勉強を始めると多くの学生はまず過去問に取り組みます。歯科医師国家試験対策として過去問を解くことはもちろん大切です。出題形式や重要分野を理解するためには欠かせない学習です。
しかし、過去問中心の学習だけではどうしても限界があります。過去問はあくまで「問題」であり知識の体系そのものではありません。
例えば、歯髄炎についての問題を解いたとします。過去問では「この症状は何か」「この処置は何か」といった形で問われます。その問題の答えを覚えることは出来ます。しかし、その病気がどのような病態を持ちなぜその治療が選択されるのかという背景まで理解することは難しい場合があります。
教科書はその背景を説明するために存在しています。
教科書には必ず構造があります。病因があり、病態があり、症状があり、診断があり、治療があります。この流れの中で知識が整理されています。つまり教科書は「知識の地図」のようなものです。
この地図を理解している学生は本当に強いのです。
歯科医師国家試験の問題は一つの知識だけを問うものばかりではありません。複数の知識を組み合わせて考える問題も多く出題されます。そのような問題に対応するためには、知識が点ではなく線としてつながっている必要があります。
教科書を読むことが出来る学生はそのつながりを理解しています。例えばある症状を見たときにその背景にある病態を思い浮かべることが出来ます。そして、その病態から適切な治療法を導くことが出来ます。
このような思考が出来る学生は歯科医師国家試験の問題に対して柔軟に対応することが出来ます。
一方で、暗記中心の学習ではこの対応が難しくなります。問題の形式が少し変わっただけで答えが分からなくなることがあります。知識が「点」としてしか存在していないからです。
近年の歯科医師国家試験は明らかに理解型の問題が増えています。単純な暗記だけでは解くことが出来ない問題が増えているのです。この傾向は第119回歯科医師国家試験でもはっきりと見られました。
その意味でも、教科書を読む力はますます重要になっています。
では、教科書を読める学生とはどのような学生でしょうか。
それは単にページをめくる学生ではありません。文章の意味を理解しながら読み進める学生です。そして分からない部分があればそこを立ち止まって考えることが出来る学生です。
教科書には一見すると難しい文章もあります。しかしその文章には必ず意味があります。専門的な内容を正確に伝えるために慎重に書かれているのです。
教科書を読める学生はその意味を丁寧に理解しようとします。そして理解出来た内容を自分の知識として積み重ねていきます。
もう一つ重要なことがあります。それは「繰り返し読む」という姿勢です。
教科書は一度読んだだけで全て理解出来るものではありません。むしろ二回目、三回目と読むことで理解が深まっていくものです。最初は難しく感じた部分も知識が増えてくると自然に理解出来るようになります。
この繰り返しの中で知識が少しずつ体系として整理されていきます。
私は指導の中でよく学生にこう話します。「教科書は友人のような存在です」と。困ったときには必ず戻る場所であり何度でも相談出来る存在です。
様々な試験が近づくと多くの学生は不安になります。そして新しい参考書や問題集を探し始めることがあります。しかし、そのような時こそ自分の教科書に戻ることが大切です。
これまで読み続けてきた教科書には、自分自身の学習の軌跡が残っています。線を引いた部分、書き込んだメモ、その一つ一つが努力の証です。
その教科書をもう一度開くことで知識が再びつながり始めます。そして自信も少しずつ戻ってきます。
教科書を読める学生はこの「戻る場所」を持っています。だからこそ強いのです。
歯科医師国家試験は決して簡単な試験ではありません。しかし、正しい方法で学び続けた学生にとっては乗り越えることが出来る試験です。
その学びの中心にあるのが教科書です。
教科書は地味な存在かもしれません。しかし最も確実な学習の道具でもあります。長い年月をかけて整理された知識が詰まっており歯科医師として必要な基礎を支えてくれます。
これから歯科医師国家試験を目指す学生にはぜひ教科書を大切にして頂きたいと思います。そして教科書を読む力を身につけて頂きたいと思います。
その力は歯科医師国家試験だけではなくその後の臨床でも必ず役に立ちます。
教科書を読むことが出来る学生は学び続けることが出来る学生です。そして学び続けることが出来る歯科医師こそ、長く社会に必要とされる存在になるのだと思います。
本日も最後迄有難う御座いました。
弘中塾
弘中 崇
歯科医師国家試験、歯科国試合格、歯科大学卒業・進級・留年、卒国試過去問、オンライン、CBT、歯科国試直前講習等をテーマに今後もコラム・よくある質問を公開させて頂く予定です。
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政策委員長談話「需給問題が歯科医師の質低下に」/機関紙2017年6月1日号(№567)2面掲載 (https://www.tokyo-sk.com/featured/10655/)



