塾長コラム

合理と情をもって|塾長コラム76 公開させて頂きました。

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各歯科大学生と既卒生のみなさん、こんにちは、弘中塾の弘中 崇です。

 

今回のコラムは僕の祖父が故後藤田正晴氏と同じ警察庁だったので生前祖父から聞いた同氏のお話をもとに著書「情と理」を読んで書きました。

 

■序章──「情と理」から考える受験の現場

後藤田正晴の著した「情と理」という言葉には、人が判断に迷うときに何を拠り所にするのか、という深い示唆が込められています。理論や制度、計画といった“理”は大切ですが、それだけでは人は動きません。一方の“情”だけで進めると甘さや曖昧さが生まれ結果的に崩れてしまいます。歯科医師国家試験という大舞台は、この「理」と「情」のせめぎ合い、狭間の中で冷厳に成り立っています。

そこで本稿では、あえてテーマを「合理と情」と置き換え現代の歯科医師国家試験を含む受験戦略にどのような意味があるのかを考えていきます。


■第一章──歯科医師国家試験に求められる「理」と「合理」

歯科医師国家試験は膨大な知識と的確な判断力を一定水準以上で持っているかを測る国家試験です。出題範囲は非常に広く単に暗記を積み上げただけでは対応できません。限られた時間の中で最大限の得点を狙うには、「どこを捨て、どこを取りに行くか」という判断が欠かせません。合理的な戦略とは感情や好みを一歩横に置き、「合格のために必要な行動に時間と意志を集中させること」です。優先順位をつけ全国模試・歯科国試過去問・必修の傾向を踏まえ得点効率の高い領域から学ぶことは、まさに“理”の領域に属します。

一方で、合理は冷たさではありません。合理とは「目的を達成するための最適化」であって情を排除するものではないのです。「自分は何のために合格したいのか」「誰が応援してくれているのか」という気持ちも含めて燃焼力へ変えてこそ本来の合理になります。


■第二章──“情”がなければ勉強は続かない

では情とは何でしょうか。簡単に言えば「気持ち」や「想い」です。しかし、それは単なる優しさや励ましだけではありません。悔しさ、不安、期待、責任感、恩義、将来への願いなど、複数の感情が混ざり合った人間らしい動力です。家族からの支え、友人との励まし、恩師の言葉なども、すべて情のひとつです。

受験生活では孤独を感じる瞬間や思うように点が伸びない時期が必ずやってきます。合理だけで前に進もうとしても心は摩耗してしまいます。ところが、“情”があると踏ん張りが効きます。「応援してくれている人がいる」「ここまで頑張ってきた自分を裏切りたくない」といった感情が合理的行動を支えます。

情は精神的な持続力の源泉です。


■第三章──合理と情は対立ではなく両輪

合理と情は、どちらかを選ぶものではありません。むしろ、理性だけでは走れず感情だけでは道に迷います。歯科医師国家試験に受かる人の多くは、無意識のうちにこの両輪をバランスさせています。


・歯科国試過去問を数字的に分析するのは合理
・「今年こそ受かる」という強い意志は情
・理解度に応じて教材を切り替えるのは合理
・焦りや不安を抱えながらも継続する力は情

このように両者は表裏一体です。特に残り期間が少なくなるほど合理的判断と情による粘り強さの両方が必要になります。どちらかが欠けると机には向かっていても前に進まず精神的に行き詰まります。


■第四章──指導側が果たす役割

歯科国試対策塾や予備校、歯科大学指導者は学習の合理化を勧める存在として重要です。しかし同時に、学生の情を理解し落ち込んでいるときにどう声をかけるか努力をどう評価するかといった温度も求められます。「情に流されて甘やかしすぎない」「合理だけを押し付けて孤立させない」という線引きは難しいですが、そこに指導者の力量が問われます。

例えば「この分野は今切り捨ててもよい」という判断は合理的ですが、それを伝える際に「あなたのためになるからこそ、ここに集中しよう」と語る言葉には情が含まれます。歯科国試受験生本人が自分を信じられない時にこそ外部の“情”は支えになります。


■第五章──合理を進めるための情の活かし方

歯科国試対策の勉強計画を立ててもモチベーションが下がれば崩れます。合理を機能させるには以下のような情の力が役立ちます。




  1. 自分なりの「合格する理由」を言葉にする


  2. 応援してくれる人の存在を意識する


  3. 小さな達成感を積み上げて自己肯定感を回復する


  4. 苦手科目にも「克服する意味付け」を与える


  5. 仲間や指導者との対話を通して視野を保つ

これらは、合理的学習を支える心の燃料になります。ただ努力を続けるのではなく、「なぜやるのか」「どこへ辿り着きたいのか」を情で補強することで学習効率は段違いに高まります。


■第六章──合理を失わせる“負の情”との向き合い方

情には良い面だけでなく負の側面もあります。焦り、不安、劣等感、投げやりな気持ちなどは合理的行動を乱します。

ここで大切なのは、「抱くな」と否定することではなく、「どう扱うか」という視点です。


・不安は計画の見直しや学習量の調整に活かせます。
・劣等感は視点を変えればモチベーションに変わります。
・焦りは「やるべき優先順位」を再確認させる材料になります。

理屈だけで不安を打ち消すのではなく、「わかっているよ」「でもやれることを進めよう」という情の声を自分にかけることが大切です。


■第七章──家族・仲間・塾との関わり方

歯科医師国家試験は一人の戦いに見えますが実際には多くの人との関係の中で進みます。親の支援、友人の励まし、指導者の助言などは情の塊です。それを重荷と捉えるか背中を押す力と捉えるかで結果は変わります。「心配を背負いすぎないための合理的な距離感」と「背中を押してもらうための素直さ」を両立することで情はエネルギーに変わっていきます。


■第八章──歯科国試合格後に残る“情”が合理を支えていたと気づく瞬間

歯科医師国家試験に合格した人の多くは、「理詰めで合格した」と同時に「最後は支えてくれる人や気持ちが力になった」と語ります。振り返れば合理は情に支えられ情は合理によって現実的な形を持ちました。

つまり、どちらが正解なのではなく両方が働いたからこその結果です。


■終章──合理と情は未来をつくる手段

後藤田正晴氏著書「情と理」の本質は、「理があっても人は動かず、情だけでも世の中は動かない」という現実を見据えた言葉でした。歯科医師国家試験という冷厳環境においても同じです。合理とは計画や判断力であり情とは人を前に進める心の働きです。

どちらかを否定するのではなく噛み合わせることで初めて結果につながります。

もし歯科医師国家試験合格がゴールではなく、その先に患者さんや社会との関わりを見据えているのなら合理と情のバランス感覚はますます重要になります。冷静な判断と人間的な温かさの両方を持つ歯科医師は、患者にも同僚にも終生信頼され続けます。

歯科医師国家試験で学ぶべきものは知識や技術だけではなく、この「合理と情」の向き合い方なのかもしれません。

以上に成りますがみなさんはどの様にお感じになられましたか?

もしお時間がありましたらぜひ「情と理」をお薦めします。

引き続き宜しくお願い致します。

弘中塾

弘中 崇

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歯科医師国家試験、歯科国試合格、歯科大学卒業・進級・留年、卒国試過去問、オンライン、CBT、直前講習等をテーマに今後もコラム・よくある質問を公開させて頂く予定です。

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